初日の朝、事務所へ向かったが、その記憶が曖昧だ。
たぶん、メインのキッチンを通ってパティスリーに案内された。北海道で働くのは初めてで、かつ大きな施設だったため、建物の中も少し戸惑った。
クラブメッドでの仕事はメインのキッチンを通って奥に進むと、右手にはコールドと呼ばれる冷製のサラダやオードブルの調理場があり、その横にはブッチャー(肉)がいた。そして、奥に進むとパンの製造室があり、そこに隣接してパティスリーの製造室が広がっていた。
私はパティスリーの製造室へ案内され、そこで初めて出会ったのがパティスリーシェフのエリックだった。
クラブメッドでは多くのエリックが働いており、ブッチャーのエリックは「ゴンエリック」、コールドのエリックは「プティエリック」と呼ばれていた。
彼らの身長差がニックネームなんだろうな、でも簡単すぎるけど。
クラブメッドではシーズンごとにスタッフが入れ替わる為か、エリックは日本語も英語も理解しておらず、私も英語が得意ではなかった。しかし、お互いに言葉が通じないことが楽しいコミュニケーションの一部となっていた。楽しい新しい生活の幕開けと思ったが…
そこにはもう一人、日本人のスタッフがいた。
なぜかそのスタッフはエリックを嫌っており、お互いに無視し合っていた。不可解な状況に私は戸惑いつつも、エリックと仲良くなっていくのでした。
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