主な学会発表
1 毛髪の裁判化学的研究(第二報):液体整髪料の毛髪付着残留成分について(Ⅱ) 1985年4月 日本薬学会第105年会(金沢)
液体整髪料(ヘアリキッド)の毛髪に残留する成分の抽出法,GC 及び GC-MS 分析法を開発し,銘柄の推定の可能性を示 した.
2 毛髪の裁判化学的研究(第7報):毛髪付着残留成分からの頭髪用化粧品類(酸化染毛料)の銘柄識別について 1988年4月 日本薬学会第108年会(広島)
傷害事件で現場採取の毛髪付着成分から被害者の使用したヘアスプレーを特定し,被疑者検挙に結びついた鑑定例を示し た.
3 ESR 法による血痕の付着経過日数の判定について 1989年5月 第11回磁気共鳴医学会(松山)
電子スピン共鳴(ESR)法を用いて,長期に血痕の経過日数を判定する方法を開発し,付着基質によるヘモグロビン分解の 差違を証明した.
4 ヒトヘモグロビンを指標としたモノクロナール抗体サンドイッチハイブリダイズによる新しい人血鑑別法(テストプレート 法) 1997年4月 第81次日本法医学会総会(鹿児島)
新しい法医免疫学的人獣鑑別法(サンドイッチ・ハイブリダイゼーション法)による人血証明法を開発し,さらに,その犯 罪現場用器具を考案した.
5 身元確認のためのDNA型判定に及ぼす死後変化の影響の検討 2003年4月 第87次日本法医学会総会(富山)
死体の採取試料,死後経過期間,発見場所,状態により,DNA 型の検出率が異なることを証明し,法医分野の個人識別 の可能性を示した.
6 精液混合体液からの精子由来 DNA の迅速・簡易な抽出法の開発 2005年4月 第89次日本法医学会総会(高松)
混合体液から精子DNAの簡易,迅速抽出法を開発し,性犯罪において,本法の有用性を証明した.
7 ABO式血液型とDNA型の由来が異なった強盗致傷事件遺留物の1鑑定例 2007年5月 第91次日本法医学会総会(秋田)
強盗致傷事件において被疑者が犯行時に使用したニット帽に付着した体液のABO式血液型とDNA型の由来が異なった鑑 定例を報告した.
8 DNA型鑑定と精度管理~誤鑑定の防止策~ 2010年11月 第47回日本犯罪学会総会(東京)
日本における犯罪鑑識のためのDNA型鑑定は1990年から始まり,現在に至っている。今回,このDNA鑑定の精度と管 理を高めるに,検査技術以外の鑑定資料採取,鑑定作業,鑑定書作成時において発生する誤鑑定要因とその防止策を報告 した.
9 「法科学研究所」創設への提言~冤罪のない安全と安心の日本を目指して~ 2011年12月 第48回日本犯罪学会総会(埼 玉)
日本の犯罪捜査において,犯罪現場に遺留された物体などの大部分の鑑定は都道府県警察の科学捜査研究所(科捜研)で行 っている.しかしながら,科捜研は警察の組織の中であるが故に,鑑定結果に対して中立性・客観性に疑念が持たれてい る.そこで,それらを向上させ,鑑定が関与する冤罪の絶無のための方策として,「法科学研究所(法科研)」の創設を 検討し報告した.
10 DNAによる薬用植物 の新・鑑定法~第1報~偽造・異物混入のない安全と安心の健康生活を目指して 2012年3月 日本 薬学会第132年会(札幌)
薬用植物は,日本人の健康志向を反映して広く用いられている.しかしながら,それらを服用するときは,加工や抽出を するため原形をとどめず植物形態学的検査による品種識別は困難となる.また,偽造や異物混入も考えられ,安全と安心 の健康生活を目指してDNAによる薬用植物の新・鑑定法を報告した.
11 DNAによる徳島県特産物の新・鑑定法~第1報~産地偽装のない安全と安心の食生活を目指して 2012年11月8,9日 日本DNA多型学会第21回学術集会(京都)
ランダムプライマー40種類 を用いたRAPD 法により,徳島,愛媛,福岡,熊本の各県の特産物(合計10品)のDNA多 型が確認された.STS化プライマーTKN01-1,TKN01-2を作成し,タケノコ(モウソウチク,マダケ)の種識別に有効 であった.
12 元科学捜査官による 「DNA鑑定」の検証(その1)~冤罪のない安全と安心の日本を目指して~ 2012年12月1日 第49回日本犯罪学会総会(東京)
「DNA鑑定」は,「安全と安心の日本づくり」に絶対的に不可欠であり,事実,多大な効果を発揮し難事件の解決に寄 与している.しかしながら,不完全な鑑定手法により冤罪が生まれているのも事実である.いつの時代も「科学」を駆使 して社会貢献を目的とする科学者は良心に従い,謙虚に,忠実に鑑定資料と対峙し,社会正義を貫くことにより冤罪のな い安全と安心の日本を目指すことが日本の繁栄に繋がる.
13 DNAマルチ肉種鑑別法における肉種識別マーカーの作成~食品偽装のない安全と安心の食生活を目指して~ 2014年 11月27,28日 日本DNA多型学会第23回学術集会(名古屋)
電気泳動においてブタは約400bp,ヒツジは約350bp,ウシは約280bp,ニワトリは約200bpにバンドを確認するこ とができた.食肉4種のPCR増幅産物をブタ,ヒツジ,ウシ,ニワトリ=1:2:1:1の割合で混ぜたところ,最適な肉 種識別マーカーが作成できた.サイズマーカー(100bpラダーマーカー)と作成した肉種識別マーカーを同時に電気泳 動することにより,より正確な肉種識別が可能であった.
14 犯罪捜査におけるDNA鑑定の問題点(教育講演) 2015年11月28日 第52回日本犯罪学会総会(福岡)
日本の犯罪捜査の鑑定において,司法解剖は大学医学部法医学教室,犯罪現場に遺留された物体のDNAなどの検査は都 道府県警察の科学捜査研究所(科捜研)で行っている.科捜研で未導入の鑑定については,警察庁科学警察研究所,大学の 専門家が行うこともあるが,大部分の鑑定は科捜研が行っているのが現状である.しかし,科捜研は警察組織に設置され ているが故に,特有の問題が生まれている.そこで,問題点を提起し,解決策を紹介する.
15 ニューヨーク市主席医学検査官事務所におけるDNA型鑑定について(第1報) 2018年11月17日 第55回日本犯罪学 会総会(徳島)
アメリカ合衆国ニューヨーク市主席医学検査官事務所(The New York City Office of Chief Medical Examiner:
NYC-OCME)は,ニューヨーク市衛生局に所属し法医学による突然の異状死の捜査を行い,4つの研究所がある.その 1つは,法医生物学研究所(Department
of Forensic Biology)であり,犯罪や死者に関する血清学的検査,DNA検 査を行っている.今回,本研究所を視察・調査し,そこで行われているDNA型鑑定について報告した.
他 学会発表合計57件 警察・鑑識科学研究発表会28件